口の周りの癖、たとえば、よく知られているところでは、「指しゃぶり」によって歯並びが悪くなるというのをきかれた方は多いかと思います。
長期にわたって指しゃぶりを続けていると、前歯が指で押されて前方に出てくるだけでなく、上の顎の骨の形まで変形してくることもあります。また、上と下の歯の間に指の入る隙間ができて、次にこの隙間に舌を入れたり挟んだりする癖が出てくることもあります。

指しゃぶりはそれをしている子どもも自覚がありますので、比較的直しやすい癖であるのですが、この舌を歯の間に挟む癖は本人も家族の人も気づきにくく、大人になっても続いているということがあります。
また、指しゃぶりの経験のない人でも、話をしたり、食べ物を飲み込んだりするときに、舌の先や横を上下の歯の間に突き出したり、本を読んだり、テレビを観ているときなどに口をぽかーんと開けて上下の歯の間から舌が出ているような状態であれば、これを「舌癖(ぜつへき)」があるといいます。
最近、治療に通っている子どもたちの中にこの舌癖が見られる割合が多くなってきたように思います。そして、このような子どものほとんどが、鼻で息をせずに口で息をしている「口呼吸」です。アレルギー性鼻炎や鼻づまりのために口で息をしていたのが癖となって、鼻で息ができるようになっても口呼吸が続いているという状態の人が少なくありません。

口を開けていると、唇の力が弱くなり、歯を外側から押さえる力がなくなり、さらに、舌で歯を内側から押すような舌癖が伴うと、上下の歯が咬み合わないが合わない開咬(かいこう)や空隙歯列(すきっ歯)などの歯列不正が生じ、発音も不明瞭になります。
また、このような人たちは口の周りの筋肉のバランスが崩れているため、しまりのない口元となり、体全体もどことなくだらりとした状態となっています。
こういった癖のある人の歯の矯正歯科治療をして、装置の力できれいな歯並びを作ったとしても、その後、装置をはずすと舌の力で歯を押したりなどして、きれいな歯並びを保てなくなることがあります。そのため、口の周りの筋肉のバランスが正しく維持できるように、「指しゃぶり」、「口呼吸」や「舌癖」といったような癖を直すことも大切な治療です。その他には、顔のゆがみのある人の中に、長い間「頬杖」をついていたのが原因であったという場合もあります。このような癖のある人はなるべく早いうちに直していきましょう。
当院では、なかなか癖の直らない人対して口腔筋機能療法といって、正しい舌や唇の位置と力を保ち、正常な発音や食べ方の習慣をつけるレッスンを行っています。